科学史学会で科学技術史資料の展示に関するシンポジウムを開催

日本科学史学会の第70回年会(早稲田大学西早稲田キャンパス)にて、シンポジウム「博物館における科学技術史資料の展示をめぐって」を開催しました。

このシンポジウムは私が企画したもので、開催趣旨は次の通りです(予稿集に記した文章より):

科学史・技術史・医学史の研究で用いられる一次資料のなかには、種々の博物館に収蔵されているモノや文書も含まれる。図書館や文書館の場合と異なり、そうした博物館資料は多くの場合に展示され、一般の人々に対して過去の科学・技術・医学について伝える役割を果たす。本シンポジウムでは、実際に博物館での展示に関わった経験を持つ講演者をパネリストに迎え、科学技術史資料を展示することの意義や課題について、参加者も交えて議論したい。

冒頭で趣旨説明をしたあと、シンポジウム前半では、有賀を含む5名がそれぞれ講演(話題提供)をおこないました。後半では、あらかじめお願いしていたお二人からの長めのコメントと、会場参加者より出された質問・コメントをもとに、登壇者によるパネルディスカッション形式で進めました。5件の講演は以下の通りです:

  • 「もの」の研究と展示をめぐる動向:ドイツ博物館での国際研究集会Artefacts 2022に参加して(国立科学博物館理工学研究部 河野洋人)
  • 東京大学由来の科学技術史資料 ―大学博物館における展示の意義と課題―(東京大学総合研究博物館インターメディアテク寄付研究部門 寺田鮎美)
  • 科学館における科学技術史資料の展示課題(大阪市立科学館 吉岡克己)
  • 歴史資料の展示を通じて歴史を展示すること ―国立歴史民俗博物館企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」の経験から―(専修大学文学部 廣川和花)
  • 科学の展示か、歴史の展示か ―国立科学博物館の企画展「加速器」の場合―(一橋大学大学院言語社会研究科/国立科学博物館理工学研究部 有賀暢迪)

案の定、あっというまに終了時刻になってしまいましたが、それでも有意義な意見交換ができたように思います。これを今回限りの企画とするのでなく、博物館や科学技術史資料をテーマにした交流・議論の場を引き続き作っていければと思っているところです。

最後になりますが、登壇者の皆様と、コメントを引き受けていただいた多久和理実さん(東京工業大学)・平岡隆二さん(京都大学)、ならびに会場およびオンラインで参加してくださった皆様に、御礼を申し上げます。ありがとうございました。