2024年11月18日

演習(大学院ゼミ)の記録

【論文分析】

Richard F. Hirsh and Adam H. Serchuk, “Momentum Shifts in the American Electric Utility System: Catastrophic Change-Or No Change at All?,” Technology and Culture 37 (1996): 280–311.

本日は、1970年代から90年代にかけてのアメリカにおいて、電力システムは本質的に変化したのかどうかを問う論文を読みました。特にカリフォルニア州では、規制緩和によって風力発電を行う新興企業が台頭したことや、環境活動家の運動などの影響で大量生産から省電力へと舵を切らざるをえなかった状況などから、電力システムは変化し始めたと経済アナリストらは論じていた一方で、著者らはトーマス・ヒューズの「保守的/革新的発明」や「技術的変化」といった概念を参照しながら、本質的な変更は生じていないと主張しました。論文内の議論には納得できましたが、これがイノベーション論などとどのように接続するのかや、ゼミ中で指摘があったように、どういう状態になったら本質的変化といえるのかといったことが、疑問点として残りました。また、日本の事例ではどうなのかについても、今後考えていきたいと思います。【猪鼻】

【書評紹介】

※担当者欠席のため今回は無し

【研究発表】

「ウルトラシリーズにおける「科学」の表象とその未来」

本研究は、特撮映画『シン・ウルトラマン』における「科学」の表象を対象としています。現段階では、初代『ウルトラマン』との比較を通じて、科学技術が物語の中でどのように描かれ、また社会や倫理にどのような影響を与えているかを考察する方向性を模索しております。ただし、研究の範囲はまだ大枠にとどまっており、具体的な分析や課題が多く残されている状況です。今後は、特撮というサブカルチャー分野にとどまらず、作品が内包する文化的・社会的な要素も視野に入れつつ、よりマイクロな視点から分析を進めてまいりたいと考えております。【李】