演習(大学院ゼミ)の記録
【論文分析】
Keisuke Yamada, “Mobilizing Citizens’ Ears: Aural Training as Civil Defense, 1941–45,” Technology and Culture 64 (2023): 359–378.
今回は1941年から45年という戦時中に日本の学校で行われた「爆音教育」に着目した論文を読みました。第一次世界大戦で航空機が兵器となったことから音で敵機の位置を把握するために発展した音響防衛に関する研究は、西洋の軍隊に焦点を当てたものに偏っており民間防衛の視点が薄いこと、一方、民間防衛に関する研究では日本のバケツリレーやガスマスクを対象としたものもあるが聴覚にかかわる研究は少ないことに著者は着目し、音響防衛と民間防衛が交差する「日本における民間防衛としての聴覚訓練」を提示しました。音響探知機について、あるいは音感教育についてはそれぞれ新しい発見を提供なくても、それらを組み合わせることで新しい見地を提供するという方法が、海外からアジア研究などを発信する場合には有効な場合があると学びました。【神村】
【書評紹介】
【研究発表】
「国立科学博物館所蔵「長岡半太郎資料」ノート類の所蔵状況の調査報告」
今回は、今年度共同研究者として携わらせていただいている、核融合科学研究所の研究者資料のアーカイブズ学的な研究テーマを見据えたお話をしました。そのなかで、これまで行った類似のテーマとして「長岡半太郎資料」に関する研究について、修士論文提出後に自然科学系アーカイブズ研究会で報告した内容を元にお話しました。議論では、歴史研究との視点の違いや、科学史研究にとってアーカイブズ学的アプローチがどうような重要な意味をもつのか、私自身の博士論文における位置づけ等が論点になりました。それぞれの分野の目指すことやアプローチの視点の違いを相対的に捉えながら、より柔軟なテーマ設定で研究を進めることを目指していきたいと思います。【菱木】