学習院大学の基礎教養科目「記録保存と現代II」で非常勤講師を務めました。私の担当はオムニバス講義の1回分で、テーマは「科学研究のアーカイブズ」です。
学習院大学は、大学院に「アーカイブズ学専攻」を設けています。今回担当した授業は大学院の科目ではなく、そこの教員の方々が提供している学部向け一般教養の授業です。といっても、内容は「当該分野のリーダたちによる講義」(シラバスより)とされています。
私は今回、前年度まで担当されていた菊谷先生(元・KEK史料室)からのご紹介で、初めてこの授業を担当しました。少し前から自分の研究テーマの一つに「科学アーカイブズ」を掲げていたものの、この内容で1回分を講義するのは初の試みです。そもそも「科学アーカイブズ」なる概念自体、確立されているものではありません。私にとって今回の授業は、これまで漠然と思っていたこと、考えていたことを、ある程度まとめて言語化する貴重な機会となりました。
参考までに、今回の授業の構成を記します:
- はじめに――講師の経験から
- アーカイブズ施設の具体的事例――国立研究所と国立大学の場合
- 科学アーカイブズの概念
- 研究者資料の整理
- おわりに――なぜ科学研究の記録/アーカイブズが必要か?
用意した内容はむしろ大学院レベルだったかもしれませんが、少なくとも一部の受講生の皆さんには熱心に聴講してもらえたようで、ありがたく思います。
今回の講義を通じて、「科学アーカイブズ」を論じていく土台をある程度は作れたように感じています。今後さらにこの分野に貢献していけるよう、実践を通じた理論化に取り組んでいきたいと思います。