「科学の図像・視覚文化研究の現在」シンポジウムに参加

「科学の図像・視覚文化研究の現在」をテーマとしたシンポジウムに参加しました。といっても自分が発表したわけではなく、後半の講演セッションで座長を務めたのと、あとは運営のお手伝いです。

6件の講演がありましたが、現代――というよりむしろ現在――を対象とする分析と歴史研究の両方が含まれていたのが今回のシンポジウムの特徴であり、かつ大きな一歩だったように感じます。私自身は歴史研究の側なのでその立場から記すのですが、このような企画は結果的に、科学史の意義を高めるのではないかという感想を持ちました。

事情により最後のパネルディスカッションの一部を聴講できなかったため、「科学の図像・視覚文化研究の現在」についてどこまで議論を深められたかは分からないのですが、歴史的あるいは今日的図像を単に「表象」として分析するというのでなく、(橋本先生の講演でも似た整理をされていたように)一方に認知・認識の問題が、他方に社会的次元の問題があって、その中間に「視覚言語」があるのだという見通しを得られたのは良かったと思います。またその際、(自分が座長の立場から質問・コメントしたように)学問分野による視覚言語の相違を考えるというのが今後の一つの方向性ではないかと思いました。

今回のシンポジウムは対面とオンラインのハイブリッドで、多くの遠隔参加者がありました。オンラインの音声が届きにくい場面もあったのですが、全体としては大きな問題なく開催できたように思います。なにぶん裏方だったので、内容もさることながら、まずは無事に終えられたことに安堵しています。