演習(大学院ゼミ)の記録
【論文分析】
Kenji Ito, “Three Tons of Uranium from the International Atomic Energy Agency: Diplomacy over Nuclear Fuel for the Japan Research Reactor-3 at the Board of Governors’ Meetings, 1958–1959,” History and Technology 37: 67-89.
本日紹介した論文では、「外交的オブジェクト」(diplomatic object)という新たな分析概念を用いて、日本が国産原子炉の燃料のための天然ウランを国際原子力機構(IAEA)に申し入れたことを契機とする、IAEAの安全保障体制に関する議論の始動の様子が記述されました。ウランを中心に安全保障体制の形成過程を記述することで、ウランの存在論的側面が「外交」によって特徴づけられるように変質したことなどが論じられました。原子力分野に限らず、(少なくとも)20世紀後半の科学史における「外交」という分析視点の重要性に気付かされました。理論的研究の1つの型として、ゼミの場で検討できて非常に勉強になりました。【猪鼻】
【書評紹介】
【研究発表】
「パブリックアートと享受者の関係性」
修士論文題目「パブリックアートと享受者の関係性」の研究の要でもある「中動態」という概念について発表しました。言語上で動詞分析、用語の説明などの質問をいただくことで私自身が執筆するうえで把握し切れていない点などが浮き彫りにされ、有意義な時間とすることができました。【松山】