2024年5月13日

演習(大学院ゼミ)の記録

【専門書講読】

村田純一『技術の哲学:古代ギリシャから現代まで』(講談社学術文庫)講談社、2023年.

第4章 形の生産――中世:キリスト教
第5章 自然の支配――近代:F・ベーコン

自然の模倣が学術的ヒエラルキーの上位におかれていたギリシア哲学に対し、中世、近代と移行するにつれて、人間による製作の価値が認められるようになっていった様子が分かりました。特にベーコンの思想は、中世を引きずっている部分と近代以降を先取りしている部分が入り混じっていて、理解が難しい分、魅力的に感じました。議論では、ベーコンを技術官僚に例える話が印象的でした。私の研究テーマである「工学」の考え方とも共通する部分が多く感じられ、ベーコンの著作もいつかはきちんと読んでみたいと思いました。【猪鼻】

【書評紹介】

Hans-Jörg Rheinberger. Split and Splice: A Phenomenology of Experimentation. Chicago/London: University of Chicago Press, 2023.

Review by Elizabeth Cavicchi, Isis 115 (2024): 213–214.

評者によれば、本書では、実験とは科学的知識が変異する現在進行形の不安定な行動とし、実験という現象を研究対象にしています。著者は長年にわたり分子生物学を専門としていたことから、その領域においての実験の内部と周辺の相互関係が論じられ、専門の用語でもある分割と接合がタイトルにつけられてます。実験、科学史、科学哲学を専門にする幅広い研究者にとって意義深いものと感じました。【松山】

【研究発表】

※担当者が急きょ来られなくなったため、教員が過去におこなった学会発表の内容を紹介しました。【有賀】