演習(大学院ゼミ)の記録
祝日にもかかわらず、2024年度秋冬学期の初日でした。今期の参加者は教員を除いて過去最多の14名(+α)です。
今期から参加する人もいるので、例によって最初に参加者自己紹介をおこない、続いて授業内容の説明と、報告担当決めをしました。その後、後述の書評紹介を挟んで、「論文とは何か」というミニレクチャーをしました。これは主に、今年出版された書籍、阿部幸大『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社、2024年)に基づくものです。【有賀】
【書評紹介】
Henry M. Cowles, The Scientific Method: An Evolution of Thinking from Darwin to Dewey. Cambridge, Mass./London: Harvard University Press, 2020.
Review by Alisa Bokulich and Federica Bocchi, Isis 113 (2022): 196-197.
本書は、あらゆる分野に妥当する単一の「科学的方法」というある種の神話がどのような歴史的経緯を経て登場したのかを論じた著作です。著者はこの主題を論じるにあたって19世紀の生物学と心理学におけるダーウィニズムに基づいた科学的思考の自然化に焦点を当てていますが、評者が指摘しているようにこの歴史語りは非常に選択的なものに思えます。しかし、科学史はもちろん科学哲学にとっても重要な問題を論じた本書は他に類書がないため、その意義は当分否定されることはないだろうと思いました。【滝澤】