演習(大学院ゼミ)の記録
【論文分析】
Evan Hepler-Smith, “”Just as the Structural Formula Does”: Names, Diagrams, and the Structure of Organic Chemistry at the 1892 Geneva Nomenclature Congress,” Ambix 62 (2015): 1–28.
この論文の主題であるジュネーブ命名法会議とは、有機化学の命名法を議題とする1892年に実施された国際会議です。本論文はこの会議について、これが開催された背景、その議論内容や意義を論じています。著者は、とりわけこの会議の成果は、会期中に定義された構造式と名称とを厳格にマッピングする規則にあると主張しています。
未公刊史料よりも既に出版された史料を多く用いていること、また具体的な問いへの答えを導くというよりも、会議に至る経緯も含めた論文全体での叙述それ自体に主眼を置いていることにこの論文の特徴があったように思います。ゼミ中に指摘があったように、先行研究批判にもう少し紙幅を割くべきと思いましたが、全体として研究関心ど真ん中の論文で、おもしろく読みました。【澤井】
【書評紹介】
【研究発表】
「インターネットにおける中国「科普」の現状」
今回の研究発表では、修士論文全体の構成、または主に第二章の内容についてゼミの皆さんと議論しました。第一章では、中国における「科普」の歴史を考察し、科学コミュニケーションがいまだ実現されていない点について論じます。第二章では「なぜ科学コミュニケーションは未完成なのか」という問題意識を持ち、メディア考古学のアプローチを参考にしながら、「科普」の現前方式という分析視角を提案し、「科普の脱文脈化」という結論を導き出します。いただいた意見を参考に、今後はメディア考古学を説明する具体例の妥当性について再検討したいと考えています。また、修士論文の提出に向け、引き続き努力します。【徐】