演習(大学院ゼミ)の記録
【論文分析】
Daniel Akselrad, “Visions of Control: The Head-Up Display, Perceptual Labor, and a Lesson for Augmented Reality.” Technology and Culture 64 (2023): 761-789.
この論文は、拡張現実(AR)の理解を深めるため、見落とされがちだが重要な先駆的技術であるHUDに焦点を当て、その歴史と影響について論じています。パイロットがHUDに依存することで異なる情報を自主的に統合する能力が制限され、重要な意思決定に悪影響を及ぼすことが明らかになりました。著者は、この隔離的な知覚経験がARにも引き継がれ、ユーザーが単一のデバイスや情報に依存しやすくなるリスクを指摘しています。「知覚労働」理論に基づき、視覚を介した知覚労働がユーザーの自律性に与える影響を示し、ARが意思決定に関して新たな課題を引き起こす可能性を提起します。
過去の技術革新の歴史とその影響を探ることで、新技術に伴うリスクを考察するのは面白いと考えます。また、口述歴史は話し手の主観が入りやすいため、客観的な文献と併用することで、研究対象はより立体的で豊かなものになると思います。【王】
【書評紹介】
【研究発表】
「内丹の発想について」
中国古代の養生術は、なぜ内丹として外丹と対比され、錬丹術の2つの形式を成していったのか、というメインリサーチクエスチョンについて研究発表を行いました。分析のため「丹」の語に着目し、内丹発展の各時代から数篇のテキストを選定して、その用法や意味の変化を調べる予定です。【宋】