演習(大学院ゼミ)の記録
【論文分析】
基本的には当該分野の先行研究のまとめと言えますが、一部、筆者の主張もあり、「道教醫學」という分類の妥当性に関する見解を提出しています。しかしその結論はありきたりで、何か意義があるようには思えませんでした。【宋】
【書評紹介】
学芸員の授業がほとんど終わってしまったのですが、まだコレクションや博物館に対して興味がありこちらを取り上げました。本の内容は17世紀から18世紀にかけての学会におけるモノの流通とコレクションの構築という問題について取り上げた11の論文集です。Aurélien Ruellet氏はこの本について、近世科学史家は学会の知識管理技術や集合的な知恵と科学的な成果を発表する場とを書簡など物品の交換で繋いだつながりに興味を示すだろうと評しました。また、ルイジアン・フェリエの結論の章に関しての言及もありました。論文集の書評は、一つ一つの論文に言及することが難しく、全体の共通点と特に気になる章について言及する形になることが多いそうです。【西原】
【研究発表】
「エドガー・ドガのアメリカ滞在:《階段の子どもたち(ニューオリンズ)》(1872-73)に見られる黒人観」
今回の研究発表では、修士論文で書いた内容の三分の一くらいの内容を発表させていただきました。内容についていくつかご指摘があり、勉強になりました。黒人の乳母は階級的に低かったゆえにドガから蔑視されたのでは、というご指摘をいただきました。これに関しては、1872年の黒人の地位(社会的地位)を再考する必要があると考えました。また、有賀先生には、絵画そのものを造形的に論じる必要があるとご指摘を受けました。これについては、ルネサンス時代のフラ・アンジェリコの受胎告知などの絵画に原型を見ることができると考えており、それも含めて論じる必要があると感じました。修士論文で論じられなかった点を今回、ご指摘いただくことが出来、今後の課題が見えました。【武笠】