演習(大学院ゼミ)の記録
【論文分析】
Sean Weiss, “Making Engineering Visible: Photography and the Politics of Drinking Water in Modern Paris,” Technology and Culture 61 (2020): 739–771.
19世紀パリの水道建設で、運ばれてくる水のクオリティと環境破壊に疑問を持った一般大衆は、為政者の写真の使用によって議論を鎮静化された。水道を自然ゆたかなピクチャレスク様式で撮影した写真は、水道開発による自然破壊をなかったように見せることに成功した。また、水質は地質学的に豊かであると印象操作された。このように、水道の土木技師ベルグランは写真を用いて世論を懐柔することに成功した。またパリやウイーンの万国博覧会では、パリの水道システムは国際的な評価を得る一助となった。発表者の疑問としては、写真でだまされなかった人もいたと思うが、19世紀に遡ってアンケートをとるわけにもいかず、写真の説得力がどのくらい強かったかはすべて明らかになったわけではない。有賀先生のご指摘で、各節のタイトルには言葉の綾で二重の意味が暗示されていることがわかった。また、本論文の優れた点として、数多くの先行研究とソースを用いて執筆されたものであるとわかった。【武笠】
【書評紹介】
【研究発表】
「伊方原発訴訟松山地裁審議過程における被告(国)側の原発安全論の主張」
本日は、博士論文第7章の内容である、「伊方原発訴訟松山地裁審議過程における被告(国)側の原発安全論の主張」について発表しました。この内容をゼミで発表するのは初めてで、情報量が多く分かりずらいところもあったと思いますが、たくさん質問をいただけてよかったです。特に、原発について専門でない方からのご感想・ご質問から、研究内容をどのように受け取ったのかについて直接感じることができてよかったです。内容面では、「科学的知識」と「技術的知識」をどのように繋げていけばよいのかを、引き続き考えていきたいと思います。【猪鼻】