日本の物理学史

History of Physics in Japan

明治時代から現代までの、日本における物理学の研究や教育の歴史にも取り組んでいます。わざわざ「日本の」と断っているのは、ここでの興味関心が普遍性を持った理論や概念ではなく、特定の社会的・文化的状況のもとで行われてきた活動にあるからです。

このテーマはもともと、国立科学博物館に所属していた際、日本の物理学史に関する資料を担当していたことに由来します。そのため、この領域での研究活動の大部分は、科学者の個人文書や実験機器といった歴史的資料と、それらが作られたり使われたりした背景を調査することからなっています。

それとは別に、本や雑誌、各種の文書などを用いたオーソドックスな歴史研究も一部あります。特に、明治・大正期の物理教育(初等教育と高等教育の両方)や、戦後の宇宙線物理学の展開に興味があります。

主な業績

  • 中原理沙・有賀暢迪,2019.「女性物理学者の出身校としての東京女子高等師範学校:乙部孝吉の物理教育に着目して」『国立科学博物館研究報告E類:理工学』第42巻,11-24頁.
  • 有賀暢迪,2018-9.「手紙がひらく物理学史(1)~(15)」『科学』第88巻第10号~第89巻第12号に連載.
  • ヘリガ・カーオ,2015.『20世紀物理学史:理論・実験・社会(上・下)』岡本拓司監訳,有賀暢迪・稲葉肇ほか訳,名古屋大学出版会.