オイラー『力学』第2章(1736年)試訳

力学史勉強会で題材としているテクストの試訳を掲載しています。載せているのは勉強会で進んだところまでです。訳文は随時、断りなく修正することがあります。

  • 【原典】Leonhard Euler, “Caput Secundum: De effectu potentiarum in punctum liberum agentium” in Mechanica sive motus scientia analytice exposita, 2 tomi. Petropoli: Ex typographia academiae scientiarum, 1736.
《2022年4月22日開催分》

第2章 自由な点に作用する動力の効果について

定義10

99. 動力とは、物体を静止から運動へと導いたり、その運動を変えたりする力である。このような力、したがってまた動力としては、重力がある。というのも、それ[重力]によって物体は、妨げるものが取り除かれると、静止状態から下方へ落下するし、また下降運動そのものはそれ[重力]によって連続的に加速されるからである。

100. あらゆる物体は単独で放置されると、静止状態を保つか、等速でまっすぐに進む。したがって、静止していた自由な物体が運動しはじめたり、あるいは運動している物体が等速で進まなかったりまっすぐ進まなかったりするときにはその都度、何らかの動力に原因が帰されねばならない――実際、物体をその状態から追い出すことができるものならば何であれ、我々はそれを動力と呼ぶのであるから。

《2022年5月20日開催分》

注解1

101. 動力についての学説は、物体に加えられた諸動力が釣り合い状態にあり、物体が静止を保っている限りにおいては、すでに静力学において提示されている。またその中では、動力というのはさらに、物体を動かすことのできるすべてのものを指すように定義されている。しかし、運動そのものは静力学では考察されていないのであって、むしろ複数の動力が打ち消され、それらが作用する物体が静止し続けることになる場合だけが探究されている。しかし今、力学において説明されるべきなのは、物体に作用する互いに逆向きでない動力がどのようにして、実際に、静止している物体において運動を生み出し、さらには運動している物体において運動を変化させるのかである。

注解2

102. このような動力が物体そのものにその起源を持つのか、むしろそれ自体としてそうしたものが世界のうちに与えられているのかは、ここでははっきりさせずにおく。というのも、この場では、動力が世界のうちに現に存在しているということで十分だからである。そのことはたとえば、あらゆる地上の物体がそれによって下方に落下しようとするところの重力だけからも示される。だがさらに、物体に働いているそのような力は惑星の運動においても認められるのであって、惑星はもし何らの動力からも影響を受けていなかったとすれば、直線上を一様に[等速で]進んだであろう。似たような動力はさらに、磁気や電気を帯びた物体にも内在しているものと捉えられており、そうした物体は特定の物体だけを引き寄せる。こうした動力は何らかの微細な物質の運動から生じると一部の人々は論じており、また別の人々は物体そのものに引力や斥力を付与している。しかしいずれにせよ、我々は確かに、弾性体や渦にこのような動力が起源を持ちうることを見て取るのであって、そこから動力のこうした諸現象が説明されうるかどうかを、然るべき箇所で探究することにしよう。だが差し当たっては、物体に対する任意の動力の効果を決定することに努め、そこから次に、その[効果の]いっそう完全な認識に達したならば直ちに、明らかとなった事柄をそれ[動力]に適用できるようにしよう。

定義11

103. 動力の向きとは、それに沿って動力が物体を動かそうとする直線のことである。それゆえ重力の向きというのは鉛直線であって、なぜなら重さのある物体はそれに沿って落下しようとするからである。

注解1

104. 静力学においては、あらゆる[物体]が静止し続けるとみなされるのだが、動力はすべてその方向を常に同じに維持するものと定められている。これに対して力学においては、物体が[各瞬間に]常に違う場所に到達するので、それに対して作用する動力の向きは連続的に変化するだろう。実際、物体の場所が異なるのに応じて、動力の向きは互いに平行であるか、固定点に収束するか、あるいは他の法則に従うであろう。このことから、力学においては動力についてあれほど多数の論述が生まれてくるのである。

《2022年7月1日開催分》

注解2

105. 静力学に由来する、異なる動力の比較と尺度もまた思い出されるべきである。そこでは、任意の動力aがもう一つのbに対してm対nであるというのは(図11)、動力aが点Aに対してABの向きにn回加えられ、動力bが反対の向きACにm回加えられたさい、点Aが静止状態にとどまるというときであると教えられている。というのも、その時には、動力aがn倍されたものは動力bがm倍されたものと等価であり、よってna = mbすなわちa:b = m:nとなるであろう。

注解3

106. しかし動力の尺度において、力学は静力学と次の点で異なっている。すなわち、後者[静力学]ではすべての動力は同じ大きさを保つと想定されているが、それに対して力学では、物体が別の場所に到達すると動力の向きが変わりうると想定されており、それと同じようにその量も一定の法則に従って変化することがありうるのである。

命題13

定理

107. 点が複数の動力から働きかけられているときには、あたかもそれら全体と等価な一つの動力から働きかけられているかのように、[その場合と]同じだけの運動を得る。

証明

点Aが動力AB, AC, AD, AEから働きかけられているとし、動力AMはそれらと等価であるとせよ。これ[AM]に等しくて逆向きに置かれた[動力]ANが取られるとすると、後者は、静力学で述べられているように、動力AB, AC, AD, AEの作用を破壊する。したがって最初の瞬間に、動力ANは点Aに対して[直線]ANの向きに、同時に作用する動力AB, AC, AD, AEがそれ[点A]に対してそれらの中間の向き(これが[直線]AMである)に加えたであろう運動と同じだけの運動を[逆向きに]加えたことであろう。しかるに単独の動力AM(これは動力ANに等しい)は、同じく点Aを[直線]AMのほうへ、[動力]ANが[直線]ANのほうへ推し進めるのと同じだけ推し進めたことであろう。それゆえに動力AMはさらに点Aに対して[直線]AMの向きに、同時に作用する動力AB, AC, AD, AEが同じAMの向きに加えるのと同じだけの運動を加えるであろう。したがって両方の場合において、[動力の]効果は同一であろう。証明終わり。

系1

108. したがって、もし点が複数の動力から働きかけられているのなら、それがあたかもそれら全体と等価な一つの動力から働きかけられているかのように見なすことができるだろう。

系2

109. また逆に、点に作用する一つの動力の代わりに、それに作用するそれと等価な複数の動力を考えることができる。それは、静力学から明らかなように、無数のやり方で生じうるものである。

《2022年7月22日開催分》

注解

110. しかし、物体がその場所から動いた途端、それに作用する動力はその向きと大きさを変える、もしくは変えると想定されているのだから、等価な動力もまた、どの瞬間においても別のものになるであろう。このことゆえ、どの瞬間においても点に働く動力の等価物が探されねばならないし、またそれ[点]が時間の無限小要素よりも長きにわたって同じ動力から影響を受けると想定してはならない。

定義12

111. 絶対動力とは、運動している物体にも静止している物体にも等しく作用する動力のことである。このような絶対動力としては重力があり、これは物体を、運動していたとしても静止していたとしても、等しく下方へ引っ張る。

112. したがって、静止している物体に対する絶対動力の効果が知られたならば、どのようにであれ運動している物体に対するその効果もまた知られるようになる。

定義13

113. 相対動力とは、静止している物体と運動している物体とに対して異なる作用をするものである。このような動力としては、物体を自らとともに連れ去る[?]河川の力がある。というのも、物体が速く運動すればするほど、それに対する河川の力は小さくなるからである。またこれは、流体が有しているのと同じ速度を獲得したさいには、完全に消え去ってしまう。

系1

114. したがって、物体の速度が一つ、相対動力の法則とともに与えられたなら、どれだけの動力が物体に作用するかを見出すことができる。それゆえにこれはまた、物体が同じ速度を持っている限りにおいて、絶対動力に比例すると見なすことができるのであって、その効果は絶対動力の作用から決定することができる。というのも、与えられた速度で運動している物体に対する相対動力の力を決定するというのは、この場合において等価な絶対動力を割り当てるということにほかならないからである。

系2

115. したがって、次の点において絶対動力と相対動力は互いに異なっている。すなわち、絶対動力の量[大きさ]と向きはそれが作用する物体の位置だけに依存するのに対し、相対動力の量と大きさはこれに加え、それが作用する物体の速度に依存するのである。

《2022年11月25日開催分》

注解1

116. 相対動力がとりわけ関係するのは、流体中での物体の運動である。というのも、物体に対するその作用はその相対速度に依存するからであって、それが大きければ大きいほど、物体は流体から大きな力を受けるのである。しかし、流体についてのさらなる知識を要するような流体中での他の運動の場合はさておき、二つ[の場合]は論じるのが比較的容易である。一つは流体が静止しているときであり、もう一つはまっすぐ一様に運動する場合である。だが、相対運動を絶対運動で置き換えることによって、後者を前者に還元することはいつでも可能である。すなわち流体は静止していると見なされるのがよく、また固有力[=慣性]によってその状態にとどまるだろう。したがって以下で相対動力について述べられることは何であれ、静止した流体中での物体の運動にとりわけ関係するであろう。実のところ、運動している物体に対する流体の作用はもっぱらその運動を減少させることにあり、それゆえ抵抗(resistentia)と呼ばれている。これは物体が速く運動するほど大きくなり、物体が静止しているときには完全に消えてしまう。このことゆえ、今後は、相対動力を抵抗のある媒質で置き換えることにしよう。実のところ、絶対動力だけから影響を受ける運動は真空中で[のみ]なされると我々は想定しているのである。

注解2

117. なるほど、抵抗のある媒質中での運動というのは、我々が[物事の]順序に最大限従おうと欲していたなら、[本書の]最後の部分――流体に充てることになっている――に帰せられていただろう。というのも今のところ、流体がどのような法則によって運動状態にある物体に抵抗するのかは確定していないからである。だがこの題材は、非常に多くの人々によって、次のように論じられるのが常である。すなわち流体の本性がまったく取り消され、純粋に数学的な仮説として考察されるのである。そのため私は、非常に多くの優雅な問題を無視するよりは、この方法に固執するほうを好んだ――それらは実際、流体についての諸論考には見出されないのである。そうは言うものの、ここでは流体の抵抗を、点の運動にだけ適用することにしよう。というのも、有限な大きさの物体に対しては、計算が手に負えなくなるからである。さらに物体が点と同等のものと見なされうるときには、そこから次のような好機が生まれる。すなわち、抵抗力が静止している流体から生じるなら、その向きは運動の向きと合致するのである。このことゆえ、点の運動に関するこの論考においては、相対動力には点そのものが有するのと同じ向きを常に帰すことにしよう。またそれは運動を減少させるものと常に見なすことにしよう。

《2022年12月23日開催分》

命題14

問題

118. 静止している点に対する絶対動力の効果が与えられたとき、どのようであれ運動している同じ点に対するこの動力の効果を見出せ。

解答

点がAに置かれていて(図13)、そこから速度cでABの方向に運動しているとし、しかしそれに作用する動力の方向はACであるとする。時間の任意の要素dtが取られるとし、またこの微小時間において点Aは、もしAで静止していたなら、微小距離AC(これをdzと呼ぶことにする)だけ引かれて、その結果として時間dtの後にはもはやAでなくCにあるものとする。したがってACにわたってなされるこの運動が、静止した点に対する動力の効果であろう。ところが、運動している同一の点に対する同じ動力の効果は、[動力が]絶対的と仮定されているのだから、静止しているものに対する効果と等しくなければならない(§111)。いま、点Aの方向(ABに沿うものと見なす)において、[点が]その速度cで微小時間dtにおいて通過するであろう距離ABが切り取られると、仮にまったく動力を受けていなかったとすれば、AB = cdtとなるだろう(§30)。ところが動力が作用するので、時間の要素dtの後には点はBでなく、ほかの場所Dにおいて見出されるだろう。したがって[この場合の]効果は、点Bからの逸れ(これは距離BDである)によって測られるべきものであるが、静止している点に対する同じ動力の効果、すなわちACに等しくなる(§111)。ゆえにBD = ACである。ところがさらにBDはACと平行になるだろう。なぜならBDは動力の効果であり、そしてまたその方向(持続する無限小の時間dtに変化しない)に合致してくるはずだからである。このことゆえ、ACと長さが等しくかつ平行なBDが引かれると、ABの方向に速度cを有していてかつ絶対動力を受けている点Aは、微小時間dtが過ぎ去ったとき、BでなくDに見出されるだろう。ところで無限小の時間に通過される距離というのは[有限の]直線に比例すると考えることができ、さらに点は微小時間dtにおいて距離ADを通過したと見なすことができる。解答終わり。

《2023年1月13日開催分》

系1

119. 無限小の距離にわたってなされる運動は一様と見なすことができるのだから(§33)、要素ADを通過する速度はAD/dtとなるだろう(§30)。

系2

120. ADを通じての速度を、以前の速度はcだったのだから(§35)、c+dcと置く。するとc+dc = AD/dtとなるだろう。ところで前にはAB = cdtであった。ここからc = AB/dtとなる。ゆえにdc = (AD-AB)/dtが生じる。したがってADから一部分Ab = ABを取り除くと[AD-AB = Dbとなるので]、dc = Db/dtとなるだろう。

注解1

121. さらに注意すべきこととして、ACないしBDはABよりも無限に小さい。なぜならABが有限の速度により時間dtにおいて通過される距離であるのに対して、ACは無限小の速度により同じ時間で完成される微小距離だからである。実際、静止している物体に対してはいかなる動力も無限小の時間に有限の速度をもたらすことができない。

系3

122. このことゆえ角BADは無限に小さくなり、また点Bとbを結ぶと、微小線分BbはADと垂直になるだろう。角BACの正弦をkと呼ぶことにし(これは与えられているので)、全正弦を1とおくと、角BDbの正弦は(先のものに等しいので)やはりkとなり、対して角DBbの正弦は√(1-kk)となるだろう。ここから、BD = AC = dzなのだから、Db = dz √(1-kk) および Bb = kdz となるだろう。

《2023年2月17日開催分》

系4

123. したがって速度の増分dcは、以前に我々はDb/dtに等しいことを見出していたわけだが、dz √(1-kk) / dt になるだろう。しかるにdzはdtよりも無限に小さいことが理解される。というのもdzはABすなわちcdtに比べて無限に小さく、ゆえにまた、cは有限の大きさとされているので、dtに比べて無限に小さいからである。

系5

124. 動力によってもたらされる速度の増分dcが見いだされると、当初の方向ABからの点の逸れを表す角度BADもまた考慮されねばならない。それも同様に動力から生み出されるものである。しかるにその正弦は Bb/AB = kdz/cdt である。

系6

125. 運動している点に働く動力の効果はしたがって二重である。一つは速度を変えることに、もう一つはその方向を変えることにある。前者は速度の増分 dc = dz√(1-kk)/dt を与え、対して後者は角度の逸れの正弦 kdz/cdt を与える。

系7

126. もし角度BACが直角でそれゆえ k = 1 となるなら、dc = 0 となるだろう。したがってこの場合には、速度[の成分]は動力によって変わらないままである。対して角度の逸れBADの正弦は dz/cdt になる。

系8

127. もし角度BACが鈍角すなわち直角よりも大きくなると、その余弦 √(1-kk) は負となり、それゆえ速度の増分dcは負の -dz√(1-kk)/dt [原文では分母がdzとなっているが、誤植と思われる]となるだろう。このことが示すのは、速度が動力によって減少させられるということである。対して[角度の]逸れ[を表す式]は前と同じく kdz/cdt のままである。

系9

128. もし動力の方向ACが点Aの運動の方向ABと重なるなら、k = 0 となる。したがってこの場合には、運動の方向は動力によって変えられない。対して速度の増分dcは、動力の方向が運動の方向と一致するなら、dz/dtとなる。しかしもし[向きが]反対になるなら、dc = -dz/dt となる。

《2023年3月24日開催分》

注解2

129. それゆえまたこの命題の解からは、静止している点に対する絶対動力の効果が知られた場合に、何であれ運動している同じ点に対する同じ動力の効果をどのようにして見出せばよいかが明らかである。このことゆえ、本章の以下の命題では、動力によって働きかけられる点は静止しているか、または動力と同じ方向に運動しているものとすれば十分である。それというのも(図14)、もし点Aが速度cを持っていて、それによってABの方向に運動するのだが、その間に同じ方向を持つ動力によって働きかけられ、その結果として微小時間dtが終わったときに、速度cのみによって運ばれた点が到達したであろうBではなくbにおいて見いだされるとするなら、動力の効果は微小距離Bbとなるだろう。また点Aは、もしaで静止していたとするなら、ちょうど同じだけの微小距離aoを、同じ微小時間dtのあいだに動かされただろう。ゆえに、動力によって働きかけられる点Aの運動から、静止している同じ点に対する同じ動力の効果が知られ、さらにここから、どのようにであれ運動している点に対する動力の効果が知られるのである。

《2023年4月12日開催分》

命題15

問題

130. ある動力が点Aのうちに微小時間dtのあいだに生み出す速度の増分が与えられたとき、同じ動力が同じ点のうちに微小時間dτのあいだに生み出す速度の増分を見出すこと。

解答

点Aが速度cを持ち、またそれに働きかける動力と同じ方向を持つとせよ。またaoは、この動力が点Aを、静止していたならば微小時間dtのあいだに動かしたであろう微小距離であるとせよ。さらにABは点Aが速度cで微小時間dtのあいだに通過するであろう距離とすると、それに加えて動力によって働きかけられるその点は、Bb = aoとすれば、距離Abを[同じ微小時間dtのあいだに]通過するだろう。またこの距離は、無限に小さいのだから、均等運動[等速運動]によって描かれたと見なされねばならない。したがって次の微小時間dtのあいだには、もし動力から働きかけられなかったならば、この速度によって距離bC = Abを通過したことだろう。だが動力がもう一度作用するので――これ[動力]は無限に小さい時間のあいだはいずれにせよ不変なままだとされている――Cc = aoとすれば、それ[点]はCを越えてcに到達する。同様にして、第三の微小時間dtには距離cd = cD + Dd(ここでcD = bcかつDd = ao)を通過するだろう。また第四の微小時間dtには距離de = dE + Ee(ここで再びdE = cdかつEe = ao)を通過するだろう。さらには次のようになる。

Ab = AB + ao, bc = AB + 2ao, cd = AB + 3ao, de = AB + 4ao.

ゆえにao/dtは動力によって生み出される微小時間dtのあいだの速度の増分であり、2ao/dtは微小時間2dtのあいだに獲得される速度の増分であろう。同じように3ao/dtは微小時間3dtにおける増分、そして一般には微小時間ndtのあいだに点の速度cは要素nao/dtだけ増える。ndt = dτとおくと、n = dτ/dtとなる。したがって微小時間dτのあいだに獲得される速度の増分はao・dτ/dt2であろう。しかるに微小時間dtに対しては速度の増分がao/dtであるから、次の比例関係を与える。すなわち、時間dtで獲得される速度の増分対時間dτで獲得される速度の増分は、dt対dτである。したがって速度の増分は、それが生み出される時間に比例する。解答終わり。

系1

131. この速度の増分が速度cそのものには依存せず、cがどれほど大きくあるいは小さく取られたとしても同じ値を持つであろうということは明らかである。ここにおいてまた、運動している物体と静止している物体に同じように作用するという絶対動力の本性がよりよく理解される。

系2

132. ゆえにもしc = 0となり、また静止している点Aが動力によって運動へと誘発されたなら、その始まりの運動において獲得される速度は[微小]時間に比例するだろう。すなわち二倍の[微小]時間では二倍の、三倍の[微小]時間では三倍の速度を手に入れるだろう。

《次回予定:2023年5月24日》