物理学会で数値流体力学の歴史に関する研究発表

日本物理学会の2025年春季大会(オンライン)にて、「流体力学の今井スクールと日本における数値流体力学の濫觴」という題目で発表しました。現在取り組んでいる科研費課題の一環です。

「濫觴」(らんしょう)という日本語を今回初めて使ったのですが、この言葉の意味は、大河をさかのぼったところの僅かな流れ、といったところです。流体力学の話をするには相応しい表現のように感じて採用してみました。

今回の発表では、川口光年(かわぐちみつとし、1922–2007)と高見穎郎(たかみひでお、1928–2019)という、日本における数値流体のパイオニアというべき2人の人物に着目し、彼らが1950~60年代におこなった研究について述べました。史料的には主に公刊論文・解説と回想記事を使っています。きわめて平凡なやり方で、かつこれだけでは分からないことも色々出てくるのですが、戦後日本における科学史の研究、特に学説史的な研究をするための方法論としては悪くないように感じています。